
はいどーも!さとる(@blog_satorism)です!!
今回は1993年の映画『パーフェクト・ワールド』。
脱獄囚と人質の逃避行を描くロードムービー。
ぼくが初めて映画館で観た洋画。
と、同時に
初めて泣いた映画
だったりもします(n*´ω`*n)
廉価版VHS→DVD→ブルーレイと、メディアが世代交代する度に買い直している大好きな1本。

Contents
「完璧な世界」などない、と知る映画
作品情報
『パーフェクト・ワールド』
原題:"a Perfect World"
監督:クリント・イーストウッド
出演:ケヴィン・コスナー、クリント・イーストウッド ほか
公開:1993年
上映時間:138分
オススメ度:★★★★★
あらすじ

画像引用:IMDb
1963年秋、テキサス州。
刑務所を脱獄したブッチは、押し入った民家で8歳の少年フィリップを人質に取って逃亡を開始する。
彼が目指したのは、かつて父がくれた絵ハガキに描かれた”この世の楽園”―アラスカ。
逃避行を続けるうちにブッチはフィリップに対し父性を抱き始め、フィリップはブッチに対し父の姿を重ねるようになり、お互いの絆が深まっていく。

余談ですが、この映画はハロウィンのシーンから始まることから時代設定が1963年10月31日以降のことということが分かりますが、同年11月22日には本作の舞台と同じテキサス州でケネディ大統領が暗殺されたのは有名な話。
本作公開の2年前に当たる1991年、ケネディ暗殺を題材にした映画『JFK』で主演を務めていたのもコスナーだったりするのは面白い偶然です。
さとる的レビュー
父を憎んだ男と、父を知らない少年

画像引用:IMDb
父に暴力を振るわれ、父を憎みながら育ったブッチ。
母子家庭に育ち、父を知らない少年フィリップ。
脱獄囚と人質。
行きずりの出会いとはいえ、そんな2人が逃避行を続けるうちに「本当の親子」のような絆が芽生えてくる・・・とあらすじだけ聞けば、「それ、泣けるやつやん!」と言いたくなるズルい設定なのが本作『パーフェクト・ワールド』。
フィリップはキリスト教系の新興宗教「エホバの証人」の家庭で育ったため、ハロウィンに参加できなかったり、遊園地に連れて行ってもらえなかったりと教義を厳格に守るがゆえにガマンを強いられていた子でもあり、今までやりたくてもやれなかったことをすべてやらせてくれるブッチに見たこともない父親の姿を重ね、暗かった顔にも次第に笑みがこぼれ始めます。
序盤、ずっとうつむいていたフィリップが少しずつ笑顔になっていく様子にはほっこりします。
父親に愛されなかったブッチにとって、「子どもに好きなことをやらせてあげる」ことが理想の父親像だったのでしょう。
逆に、「子どもが自由に出来ない」シーンでは、彼のトラウマを呼び起こすのか、凶悪な部分が表に出て来ます。怖いですね。この辺りはブッチの二面性として、コスナーは上手く演じていました。
しかし、そんな風にお互いの境遇に共感し合う彼らがどれだけ絆を深めようと、所詮は脱獄囚と人質の関係。
「完璧な世界」と題された本作の結末は、皆さんの目で確かめてみてください。
※ちなみに、ぼくは趣味で宗教を学ぶ身として「エホバの証人」及び新興宗教を否定するつもりは毛頭ないのであしからず。
信仰の自由がある以上は好きにしたらいいし、他者がとやかく言うのはおかしいでしょというスタンスです。
ノリにノッてたコスナー

画像引用:IMDb
主人公ブッチを演じたのは、当時ノリにノッていたケヴィン・コスナー。
1990年に監督・主演した映画『ダンス・ウィズ・ウルヴズ』でアカデミー作品賞・監督賞を受賞し、俳優としてのキャリアもヒット作を連発していた頃で、まさに人気絶頂期でしたね。
それまでは正義のヒーロー的な役柄が多く「悪役はやらない」と公言していた彼だけど、本作『パーフェクト・ワールド』では一転、悪役に初挑戦したことでも話題になりました。
犯罪者であり、脱獄囚でありながらも純粋な悪ではなく、複雑な感情を持つ人間としてのブッチというキャラクターに惹かれたのでしょう。
また、コスナーはぼくにとって初めて本気でハマった俳優さん。
本作の素晴らしさも合わせ、思い出の1本なのです。

追うイーストウッドも渋い

後ろに映ってるのはローラ・ダーン。
画像引用:IMDb
ブッチを追うレッド署長を演じたのは、監督も務めるクリント・イーストウッド。
本作『パーフェクト・ワールド』公開の前年である1992年には、自身が監督・主演を務めた映画『許されざる者』でアカデミー賞を受賞したばかり。
コスナーの『ダンス・ウィズ・ウルヴズ』と同じく西部開拓時代を描いた作品であり、どちらも監督・主演を自身が務めているという共通点は興味深いところです。
それにしても、イーストウッドの渋さは異常。
何よりも背筋がピンとしていてカッコいいの一言に尽きる。
この後、現在に至るまで精力的に活動を続け、名作を連発し続けているというのが本当に凄すぎます。
また、本作でイーストウッドの日本語吹替を担当されているのは故・山田康夫さん。
年配の方だと「イーストウッドといえば山田康夫」だと思いますので、その点は安心して観られますね。
逆に、ぼく世代だと「昔のルパン」のイメージが強すぎてどうにもしっくり来ない(;´・ω・)
ちなみに、上の画像の背後に写っているのは女優のローラ・ダーン。
本作と同じ1993年の映画『ジュラシック・パーク』にも出ていた方で、ぼくはどちらの映画も大好きだったので記憶に残ってる女優さんですね。
2017年の『スター・ウォーズ エピソード8:最後のジェダイ』で久々に姿を観た時は思わず感動してしまいました。
近年では2019年の『マリッジ・ストーリー』でアカデミー助演女優賞を受賞しているそうなので、今度見てみようかな!と思ってます。
ごっこ遊びしてた中二病のさとるくん

タバコはもうずいぶん前にやめましたけどね!
画像引用:IMDb
劇場に観に行ったあの日からずっと、本作『パーフェクト・ワールド』が大好きです。
息子をおんぶする度に、本作のブッチとフィリップを思い出します。
公開当時、ぼくは中学2年生。
ケヴィン・コスナーに憧れまくって劇中でコスナーが着ていた(ような)シャツも買ったし、オカンに「あんた、何に使うの?」と訝しげに思われながらもサングラス(1000円)買ってもらったりしました。
で、シャツを着てジーンズを履き、サングラスを白いTシャツの首のとこにひっかけて、気分はブッチの出来上がりというわけです。
この姿のまま写ってる当時の写真を見ると痛々しいなぁと思いつつも、それだけ憧れてたんだなってしみじみ思ったりもします。
奇しくも本作公開当時、コスナーの年齢は39歳。
フィリップを演じた子役T・J・ローサ―の実年齢は知らないけど、劇中では8歳の設定。
この記事を書いている段階(2021年2月現在)では、ぼく(40歳)と長男(8歳)の年齢差に非常に近いので、奇妙な偶然だなぁなんて思ったりしてます。

まとめ:親子ってなんじゃろなァ
ぼくがイーストウッド作品を愛して止まない理由は「静の世界観」なんだけど、本作も脱獄囚の逃亡劇でありながら派手なドンパチもカーチェイスもなく、淡々と静かに進んでいきます。
それもそのはず、本作でフォーカスされているのは犯罪劇ではなく、親子とは何か?ということ。
1つ1つのしぐさや表情から2人の感情が読み取れて、その問いの対する答えがまるでパズルのピースが埋められていくかのように、すっと心にはまっていきます。
ブッチとフィリップのように血が繋がっていなくても本当に絆が深まるケースもあるだろうし、実の親子でありながら虐待が増えている現代ならば特に考えてしまう内容かなぁなんて思います。
苦しみも悲しみもなく、この世界が幸せと喜びで満たされた場所だったならどんなに良かったでしょう。
たとえ許されない関係であっても、大切な人や好きな人と一緒にいられる時間はそれだけで幸せだろうに。
「完璧な世界」というタイトルと物語とのギャップがもたらす余韻が、この作品をより愛おしいものにしていると感じます。

↓YouTubeには海外版の予告編しか見当たらず