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映画『ソナチネ』:「暴力」と「死」。初期北野作品の集大成!

はいどーも!さとるです!!
今回は1993年の映画『ソナチネ』。

北野武監督によるこの映画は、監督曰く「最後の作品にしようと思っていた」と言うように、初期の北野映画の集大成的な内容となっています。
美しい沖縄を舞台に、退屈な「日常」と突如として起こる「暴力」。
そして全編に漂う「死」のイメージが、鮮やかなキタノブルーと共に描き出される傑作。

北野映画ファンであるぼくにとっては、北野映画ではもちろん、邦画の中でも最も好きな1本です。

さとる
めっちゃ好きなんですよコレ
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凶暴な男、ここに眠る。

作品情報

『ソナチネ』

監督:北野武
出演:ビートたけし、寺島進、大杉連 ほか
公開:1993年
上映時間:93分
オススメ度:★★★★★

あらすじ

北島組のヤクザ・村川は、手下を連れて友好組織・中松組の手助けに行けと沖縄行きを命じられる。
「行けば手打ちで終わる」と言われていたが、実際には予想外の激しい抗争が起きており、村川たちは隠れ家に身を潜めることになる。

いぬ
ヤクザさんって怖いワンね
さとる
ヤクザ屋さんの実態ってなんでしょうかね
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さとる的レビュー

ぼくとクソ高いボックスと『ソナチネ』ファーストインプレッション

▲このシーン、セリフがなくてもちゃんと伝わるのがすごいと思うの
画像引用:IMDb

本作『ソナチネ』は、北野監督による4作目であり、ヨーロッパにおけるキタノ映画の人気に火を付けた作品でもあります。

ぼくが初めて観たのは20代に入ったばかりの頃。
98年の『HANA-BI』で北野映画にハマっていたぼくは、9作目にあたる映画『Brother』が公開する頃(2001年)に発売されたDVDボックスを買ったんですよ。

「北野武監督全集」って名前の8枚組のDVDボックスで、当時4万3000円くらいだった気がします。
どうしても欲しくてお金貯めて買ったんだけど、1枚当たり5000円以上という強気な価格設定には「さすが殿様商売の代表格バ〇ダイだぜ」と中指立てる思いでありました。
ボックスもジャケットも、とても4万円するようなデザインではなかったですしね。オッサンがWordで作りましたよ的なテキトーなお仕事なのにはガッカリした記憶。
当時デザインの学校に通ってたので、こんなのがプロの仕事なのか・・・と愕然としましたね。

まぁそれはさておき、そのボックス買った時に初めて本作『ソナチネ』を観たんだけど、「何がおもろいんじゃこれ?」と言った印象で、なんとなーく退屈な映画だなぁと思っていました。

でも、本作の魅力が分かるようになったのは、それから15年以上が経った30代の終わりのこと。

仕事と育児の悩みを抱えるあまり自身にとっての「死」を考えていたこともあってか、ふと観直した本作『ソナチネ』が持つ「死」のイメージがドンピシャに心に刺さったのです。
当時の北野監督自身も「死」を意識していたと後から知って、「あぁそうなんだなぁ」と共感を覚えましたね。

「暴力」と「死」

▲若い頃のたけしさんは男前なのだ
画像引用:IMDb

北野映画と言えばバイオレンス色が強い作品が多いことで知られていますが、本作『ソナチネ』もヤクザ屋さんのお話なので基本的には暴力要素強めとなっております。

しかし、主人公・村川たちが隠れ家で過ごす日々は暴力とは無縁な退屈なもの。
沖縄の青い海と白い砂浜をバックに、ヒマを持て余したヤクザさんたちがキャッキャと遊ぶシーンはほのぼのとしてます。
相撲したり、花火で戦争したり、落とし穴作ったり。アロハ似合わないと笑って怒鳴られたり。
でも、そんなのんびりした中にもしっかりとした「狂気」が満ちていていると感じられるのが面白いところ。

そして、退屈な日々を突如切り裂く「暴力」と、次々倒れていく仲間たちの「死」。

そういったギャップが、「キタノ・ブルー」と呼ばれる青みがかった映像の色彩と併せ、強烈なインパクトをこの作品に与えています。

また、北野映画には台詞が少ないという特徴がありますが、「説明をしない」という演出が本作のアート性を際立たせていると感じます。

さとる
たけしさんの目で語る演技好き

キレッキレの音楽

▲ヒマを持て余すヤクザ屋さんご一行。
なんとなくビートルズのアビイロード感ありますね。
画像引用:IMDb

本作『ソナチネ』の音楽を担当された久石譲氏がキレッキレで、おしっこちびるくらいすごいのです。
この音楽以外はあり得ないほどに見事にハマってる。

久石氏といえば宮崎アニメの音楽担当の方として有名ですが、北野監督とも2002年の映画『Dolls』までは一緒にお仕事をされていました。
それ以降は違う方が音楽を担当されていますが、どうもコレは映像よりも久石氏の手掛ける音楽ばかりが評価されていたから変えたのだとか。

そういった意見も頷けるほど久石氏の手掛ける音楽は素晴らしいし、とりわけ本作『ソナチネ』の音楽は素晴らしいです。
メインテーマ「Sonatine」は単純なメロディの繰り返しなのに、作品全体が持つ「死」のイメージを表現しきってしまってる。ピアノの音が美しいです。
もうね、音楽聞いてるだけで感動してしまうくらいすごい。

確かに久石氏の音楽はすごいんだけど、でも映画ってやっぱり総合芸術ですから。
映像あってのものですし、音楽だけでは成り立たないものです。
本作『ソナチネ』は北野監督の持つアート性の高い映像センスに、久石氏の音楽センスが見事にハマった形なんだと思います。

初期の集大成として

▲本作は故・大杉漣さんの北野映画初出演作でもあります。
画像引用:IMDb

北野監督曰く「終わりのつもりで撮った」と語っているように、本作『ソナチネ』はそれまでの作品の集大成的な印象を受けます。

第1作『その男、凶暴につき』のバイオレンス、第2作『3-4x10月』の沖縄でのシーン、第3作『あの夏、いちばん静かな海。』におけるシンプルな演出。

そして何よりも、北野監督は映像の力をよく理解している人だなぁなんて思うのです。

あえて説明はせず、映像で撮ってるからあとはお好きにどうぞっていう感じで、このあたりのセンスというかバランス感覚が絶妙だと感じるんですよね。
どう捉えるか・どう考えるか、解釈の仕方は観た人に委ねる部分が多く、北野監督の作品はそういった印象が強く、特に初期の作品群はそう感じます。

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まとめ:孤独の先にあるもの

本作『ソナチネ』が持つ「死」のイメージ。
言葉にして説明しろと言われても難しいんですけれど。

ぼくは自殺こそ絶対にしないと考えているものの、選択肢の1つとしての「自死」について深く考えることがあります。
その時に感じる精神の不安定さだとか、センチメンタルな気分だとか、自身の中にある破壊衝動や狂気性といったものがこの映画の中にすべて表現されているような気がするのです。

ニュアンスのようなものですよね。考えるな、感じるんだの世界。

この感覚は、家族や友人の中にありながらも感じる「孤独」によってもたらされるものなので、恐らく生涯消えることはないでしょう。

映画では描かれていないけど、主人公・村川もずっと孤独だったんでしょう。
常に死と隣り合わせのヤクザという稼業を「やめたくなっちゃったな」というセリフからも、彼が持つ内面の葛藤が伺えます。
隠れ家で過ごす平穏な日々や自分のことを癒してくれる女性の存在が、「もしかしたらこのまま普通に戻れるのかも」と感じていたのかもしれません。
しかし、次々と仲間の「死」を目の当たりにすることで、結局「自分は死ぬまでヤクザなんだ」と実感し、それから解放されるには「死」以外はあり得ないと悟ることが、この映画全体を支配する「死」のイメージなのかなぁなんて思います。

主人公・村川の生き様は、当時の北野監督と重なるところなのかも。
芸人として成功する一方で寂しさを感じていたり、多忙な生活の中で無意識のうちに心の平穏を求めていて、その葛藤から解放される手段こそが「死」であると感じていたのかもしれませんね。

さとる
えらそーに言ってるけど、ぼくの頭はカラッポです
いぬ
たくさん夢が詰め込めるワンね!

というわけで今回はこの辺でおしまい!
それではまた!!

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